ここで紹介するアライメントチェックはレーザー光線を利用し、幾何学的な中心線をボディに求め作業を進めています。
車の中心には3本の線があると【基礎編抜粋】で解説しています。この3本の線を理解した後このページをご覧ください。
要するに、ここで紹介のレーザーアライメントゲージは幾何学的中心線をボディーの中心線としています。よって、事故車などのトラブル車には少々時間が掛かるということです。やはりテスタの金額は精度や時間に比例しているようです。しかし、プライベーターのアライメントチェックや、ユーザー車検などのサイドスリップ合格には大変役に立つものと信じます。
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○ レーザーアライメントゲージ |
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Pro-Autoレーザーアライメントゲージ構成部品
a アライメント計算ソフトCD-ROM(Win)
b 収納ケース
c レーザープレート
d 測定ゲージ A
e 測定ゲージ B
f マグネットベース
g レーザー測定器
h メジャー
i タイヤプレート
※改良のため予告なく仕様・外観等を変更する事がありますのでご了承ください。
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○ レーザーアライメントゲージの特徴 |
一人でトータルトー数値を約2分で確認出来て、ステアリング曲がりや斜進の原因となる個別トーの狂いをレーザー光線を用いて後輪や前輪トーを個別で判断出来る。
キャンバ角度も12インチから19インチまで対応し、測定数値は0°30′単位となり、更に目安単位は0°15′単位となる。
トー数値はメジャーで読み取り、角度への変換や更に細かな数値を知りたい場合、付属のアライメント計算ソフト【Windows】にて確認、変換が出来る。
アライメントチェック後、ホイールベースも一人で測定出来るのでセットバックの場合、サスペンションの狂いも判断出来る。
勿論、取扱説明書も付属し、誰でもがアライメントを理解出来るようになっている。
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○ 実際の測定、調整 【前輪トー】 |
測定車はダイハツムーヴ、トラブルはステアリング曲がり(センターが合っていない) それ以外には特に無く、真っ直ぐ走るとの事。
それぐらいのトラブルならPro-Autoアライメントテスタで測定しなくてもレーザーアライメントゲージで十分対応出来ると判断し、早速作業に取り掛かる。
但し、セットバック、オフセットの検証はしなくてはならない。ホイールアライメントの基礎を作っている個所の点検は怠ってはいけないのです。これも【基礎編抜粋】に詳しく解説をしています。
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今回の測定は何故レーザーアライメントゲージでの測定になったのか、その訳を幾つか紹介します。
@ この車の後輪はリジットアクスルで調整が出来ない。
A 後輪にミスアライメントが生じると車は真っ直ぐ走らない。しかし、トラブルはステアリング曲がりだけである。
B セットバック、オフセットを起していない。
C タイロッドエンドやロアアームボールジョイントにガタが無い。
上記条件であれば調整個所はフロントトーのみであり念のためキャンバも検証すればいいと判断しました。
左画像は測定車をタイヤプレートに載せ、測定準備に取り掛かったところです。
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ステアリング曲がりの主な原因としては、フロントトーが幾何学的中心線に対し、左右の角度が同じではないという事です。例えば。
ステアリングセンターが1時方向(右側) ⇒ 右トーがINか左トーがOUT
ステアリングセンターが11時方向(左側) ⇒ 右トーがOUTか左トーがIN
この調整をこれからの測定では、幾何学的中心線をボディーに見立てて検証して行きます。あくまでもボディーに見立てる訳ですから繊細な精度は期待できません。しかし、目安としては抜群で、これぐらいのトラブル車にはうってつけのテスタと言えます。
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ステアリングの12時(センター)の位置からダッシュボードにかけてテープを貼る。
このセンターの位置はステアリングを左右に一杯切ったちょうど真中でなくてはなりません。
要するに、左へ一杯切った時センターが3時であれば、右へ一杯切った時は9時でなければいけません。
そうすることで最終的にアライメントを整備した時、いわゆるアッカーマンの角度が左右一緒になるのです。
テープを貼ることで作業中絶えずセンターを確認出来ます。
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フロントトーを測定、調整するので、当然フロントホイールにレーザーアライメントゲージをセットします。
まず、左右どちらでもいいので片方のホイールに【測定ゲージ B】をセットし、メジャーを差し込む。
まずはトータルトーを測定していきます。トータルトーがアウトなのかインなのかを読み取り、次に個別トーを測定します。
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もう一方のホイールに【測定ゲージ A】をセットし、メジャーで後端の距離と前端の距離を読み取る。
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前端 1442mm
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後端 1438mm
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トータルトーはアウトに4mmというのが確認できました。この4mmが災いをしてステアリングのセンターを狂わしていたのです。
この測定車の場合、ステアリングのセンターは1時(右側)方向へ曲がっていたので、左側のホイールが怪しいと推察されます。しかし、決して決め付けてはいけません。両方のホイール角度に問題があるかもしれないのです。だから個別でトーを測定する必要があるのです。
よって、今度はレーザー光線を使って幾何学的中心線(車の中心線)に対しトーの状態を確認します。
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レーザープレート 右
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レーザープレート 左
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【レーザープレート】を車の左右共通場所(画像ではロッカパネル)に取り付ける。マグネットが付いているので大変楽です。幾何学的中心線の観念から言えば後輪にレーザープレートを付けたいのですが、すべての車には対応出来ません。
幾何学的中心線をボディーに置き換えて測定すると最初に解説をしているのはこの事があるからです。よって、比較的幾何学的中心線にほど近いボディーの中心線を見つけ出すため、ロッカパネル等の左右差の無い場所にプレートを取り付けます。
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右前輪トーのレーザー照射
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左前輪トーのレーザー照射
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右前輪トーのポインター位置 【12.8】
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左前輪トーのポインター位置 【10.7】
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左右のポインターの位置を見て頂いて、どちらのトーがアウトなのかお分かりになるでしょうか。答えは【左】です。レーザープレートの数値が小さくなる方がアウトになって行き、大きくなる方がインになって行きます。
文字の説明に画像を添えても少し理解が出来ないかもしれませんが、実際の測定では一目瞭然に理解が出来ます。
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左フロントトーをアウトからインに変更しポインターを照射したところ右側の【12.8】とは異なり【13.2】付近ですが、ここで一旦トータルトーを測定してみました。
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前端 1439mm
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後端 1441mm
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後端 1441mmマイナス前端 1439mmでトータルトーはインに2mmとなりました。この測定車の場合、サスペンションブッシュの古さよりかなりのヘタリと柔らかさが見受けられます。よって、走行中のトーを考えると静止状態はインに2mmでも走行中は0mm付近の数値となることを予想し、キャンバ数値を確認後レーザーアライメントゲージでの測定、調整を終えました。
ポインターの位置が左右で若干のズレが見られます。しかし、ステアリングセンターには大きなズレもなく、何ら違和感の無い状態です。この現象はポインター照射がシビアなことと、やはり幾何学的中心線をボディーに見立てたほんの少しのズレと考えます。
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キャンバ測定もレーザーを用いて測定します。測定単位は0°30′ですが目視で更に細かく判定が出来ます。
今回の測定では大きな左右差がありませんでしたので、キャンバ確認後は付属のマグネットベースを用い、ホイールベースを確認し、アライメント測定は終了です。
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今回、このPro-Autoレーザーアライメントゲージをホイールアライメント教則本HP通販と称し、ネット販売を致します。
プロの方には勿論のこと、プライベーターの方にも足回り整備には必需品と考えます。
価格 ¥ 57,750円 (消費税込み、送料別)
お申し込みはこちらより問い合わせて下さい。
ホイールアライメント測定、調整のご依頼はこちら(フレームショップオオニシ)で詳しくご案内しております。
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